制作にあたって、あるルールを課した。
「峯田が台本を読み全体を把握しつつ、そのイメージにとらわれずに普段の銀杏BOYZの活動ではできないことをやる」。
最初にあがってきたのが主題歌「ピンクローター」。これは、峯田が台本を読んで即座に書き上げたロック・バラードである。この曲をバンドでモノにするところから全ては始まった。
絶妙な言葉遊びにあらわれている卑猥な言葉は、悲哀を想起。抜群のメロディセンスに裏打ちされて、今までで最高の伸びやかなバンドサウンドが呼応。
さらにDr.kyOnによるピアノ演奏でなまなましい体温を得た楽曲は、舞台のイメージにぴったり寄り添ったのだった。
主題歌が録音されて以降、200曲を超える曲がメンバーによって作られ、容赦なく捨てられていった。舞台の空気や効果を第一とする以上、かえられない宿命だった。
1ヶ月間毎日稽古場に赴き、芝居の空気をつかんではメンバーに伝達し全体像を把握していく峯田の行動は、演劇の音楽担当としては異例の行動だった。
メンバーはその芝居をよくするためだけに、そして主題歌から枝分かれしていくように、必死に曲作りを行っていった。パーカッション楽曲、アコースティックギター独奏、シンセ曲、グラインドハードコア組曲、劇場での弾き語り。そして友人たちに助けられて生まれたピアノ曲、オーケストラ室内楽、ポルカ、リミックス。
いまここにあるのは、舞台「裏切りの街」のために書かれたロック組曲である。
どれもが舞台上のさまざまなシーンを彩った。
上演を観た人は、聴きながら思い出してくれれば。
観ていない人は、自由に思い描いてくれれば。
この楽曲たちは、あなたの部屋を、もしくはあなたが想うあのひとの部屋を、包んでくれるはず。そう願いたいです。
(チン中村)
パルコ・プロデュース 「裏切りの街」
[公演日程]
・パルコ劇場 2010年5月7日(金)〜2010年5月30日(日)
・森ノ宮ピロティホール(大阪) 2010年6月5日(土)、2010年6月6日(日)
・福岡市民会館(福岡) 2010年6月8日(火)
作・演出 三浦大輔
出演 秋山菜津子 / 田中圭
安藤サクラ / 古澤裕介 / 米村亮太朗 / 江口のりこ
松尾スズキ
音楽 / 銀杏BOYZ
パルコ・プロデュース「裏切りの街」オフィシャルサイト
http://www.parco-play.com/web/play/uragiri